夜中に目覚めた男は、制服に着替えて外に出る。
あるいは、夢の中か。
碁盤の目のような道を、選びながら歩いている。
闇の中、浮かび上がる、敵か味方か、幻に見る己の姿か。
縦横に碁盤の目のように、道が続いている。
まっすぐ歩いているつもりでも、人は常に曲がり、選んでいる。
道で囲まれたブロックに書かれているのは、
その4つの辺の中で誰かが進入する運命にある道の数。
線はダブったり、交差してはならない。
2本先を左上に切り取る。
右前方から影。迫ってくる……攻撃してくるのか??
「お前はどっちだ?」
な?
「どうした、なぜ答えない?……まさかお前…」
俺はただの通りすがりの……
「魔王だ、魔王が来た―――!!……」
なんだ?
「魔王だ、魔王が来た」
「魔王が学校に現れた」
「……い、命だけは勘弁してくれ……」
「助けてくれェ!!――――」
何だったんだろう?
……魔王か。ふふふ、悪くはないな。なぁんてね。
5) パズルを解いてみよう につづく 「アン・ズルニを呼ばない」表紙に戻る