男は再び魔王として、荒れ狂う学園の現場に戻ってきた、のか?
過去を悔やんで悪夢の妄想の沼に幾度も幾度も嵌り続けるのか??
魔王:ひとりぼっちの者たちよ
私はあなたを理解しよう
ひとりでたたかう者たちよ
私はあなたを支持しよう
あなたのその無謀さも やさしさも
周到さも やるせなさも
潔さも ずるさも
すべて 知っている
私はすべて 知っているから。
今はどんな局面か?
鴬張りの廊下を踏みしめ、思いを巡らす。
着いてみないとわからない。
激しい物音と、怒声がきこえる。
角をまがる。
机が降る。
椅子が飛ぶ。
ガラスが弾ける。
砂が舞い上がる。
「アンはどこだ?」
「彼女を呼んでくれ」
「やつがすべてを知っている」
「もうアンに頼るしかない」
木刀も鉄パイプも、
銃口も爆弾も、
バラもビラも札束も、
群集も罵声も、
存在も孤立も、
怖くない。
「どうする?」
「そこをあけろ」
「早くなんとかしろ」
「何か手はあるのか」
俺の学校には制服なんてない。
「アンはどこだ」
「アンを出せ」
「さあ、決断を」
「決断を」
「決断を」
…………
時は来た。
いざ、進まん。
彼女を、アン・ズルニを、
「アン・ズルニを」
アン・ズルニを、呼ばない。
伝説よ、さらば!
俺に、ついて来い。
魔王は往く。
希望への道か。
死地への旅立ちか。
終わりのない彷徨か。
(boy's side、終わり。)
19) 最後の問題 につづく 「アン・ズルニを呼ばない」表紙に戻る