女:「こんな話がある。
男と女が、夏の夜、森で出会う。
二人は激しく愛し合う。
一晩じゅう」
「夜が明けて、二人は来年の同じ日にこの森で会う約束をして別れる。
どこかにありそうな、ちょっぴりロマンチックな話。
少し変わったところと言えば、
二人が出逢った時、歳がだいぶ離れてたこと。
どっちが年上だと思う?」
男…[女…]
「そう、最初に会った時、彼女[彼]は20歳だった。
そして彼[彼女]は50歳。
二人にとって、その差は障壁にはならなかった」
それからどうなったの?
「それから二人は、1年に一度、決まった日に、
森で一夜を共にするようになった。
ところが一つだけ不思議なことがあった。
1年経つごとに、彼[彼女]は1歳ずつ若くなっていくのだ。
まさかそんな!とは思うが、時間の流れが反対に流れてるのかもしれない」
もし反対に、彼女[彼]が年上だったとしたら?
「どっちが年上でも同じことだ。
逆から考えてごらん。
彼[彼女]が20歳の時、彼女[彼]は50歳だった。
もちろん最初からそんなことに気づくわけがない。
だが、いつどうやって気づくのだろうか?
ここで問題です。
1)「自分が1つ歳を重ねる毎に、相手は1つ若返る」
彼、あるいは彼女が、そのことに気づくのはいつか?
2)気づいた時、その前後の二人の心境について、
考えられることを述べよ。」
「僕にはどうしても わからなかった。
わからなかったと言うより、知りたかった。
僕はこの話の作者に会いたい。」
…そして男は、旅に出た。
私は知っている。
「彼が何も知らずに、初めて出逢ったその夜は、
彼女にとっては、最後の夜だった。」
(そしてあなたは、もういない)
20) エンディング(girl's side) につづく 「アン・ズルニを呼ばない」表紙に戻る