ニコ先生:あなたがいた頃、私はいつも心配だった。
出かけている時は、急に事故に遭わないか、
無事に帰って来れるかと、気が気でなかった。
家に帰って、話をしていると、あなたは隣で眠りに落ちる。
私も一緒に眠ればいいけど、なかなか眠れない。
だからと言って、その場を離れるのも怖かった。
急に具合が悪くなったりしないだろうか。
突然息が止まったりしないだろうか。
血管が、心臓が、脳が…
でも今は、私はぐっすり眠れます。
あなたはいつも、私の側にいる。
微笑んで、私を見ていてくれる。
だから私は、そんなあなたを喜ばせたくて、
そんなあなたを悲しませたくなくて、
街を、野山を、1日駆け回り、
あちらこちらで、人様の相談に乗り、
明るく、元気に、生きている。
明るく、元気に、生きてきた。
だけどどうしても、1つだけ叶わない。
どれだけ気張ろうと、精進しようと、心静かに過ごそうと。
私は、あなたが元気に駆け回る姿を見たい…
はしゃぎ回る声が聴きたい…
纏わりつく感触、汗、重さ、匂い、息遣い…
おくさん:私はここにいますよ。
ニ:きこえますか?
お:私も同じ気持ちです。
ニ:見えますか?
お:向き合わなくてもいい。
こうして一緒に、星空を見つめて。
ニ:何を話すかなんて、考えなくていい。
言葉は宇宙の果てから、互いの脳に降ってきて、口から放たれ、響き合う。
お:哀しいくらいに、私たちは世界と共にある。
ニ:この哀しみを、悦び合おう。