窓の外の風景を、こびとは見ていた。
ずっと長いこと、部屋の中でゲームを操ってた。
もうこの世界は制覇した。
次のステージがこびとを待っている。
近所の公園で、
運河を見ながら、
何時間もボーっとそこに立ってる
男がそこにいた。
いつからだったっけ。
気がついたら、
来る日も来る日も、
男はそこにいた。
ある日勇気を出して、
訊いてみた。
何してるんですか?
潮、待ってるんだ。
俺は何だか分かった気がして嬉しくなって、
次の日もそこへ行ってみた。
男は来なかった。
そして気づいた。
自分がその場所まで動いていたことに。
そろそろ行くことにします。
いざ進まん。
季節はめぐり、
ユーザーこびとが外で活躍する番がやってきた。
16) 意欲は燃え尽きた… につづく 「アン・ズルニを呼ばない」表紙に戻る