「世の中を動かしてるのはこびとだ」
病室の男が話す声が聴こえる。
そう、世界はゲームなのだ。
そして実際に旗を振って動かすこびとが舞台にいる。
だが、体調不良のようだ。
どうする?こびと。
こびと:ああ、何か具合悪いな。
「こんな話知ってる?
実はこの世の中はたくさんのこびとさんによって作られている。
人間だってそう。こびとさんが旗を0,1,0,1と振って、人ができている。」
こ:0,1,0,1…
「こびとさんが旗を一斉に降ろすと、」
こ:0…
「その人はきえてしまう。」
「こびとさんが怒るとこわいんだ…」
こびと&声:「おまえはおまえの意思で動いているのだと思ったら大間違いだ。
真実を見せてやる―――」
こ:ダメだ、代わり探そう。
「むかし、すごく好きな人がいたの」
「ふーん」
「でも、ある時、うまくいかないことに気がついて」
こ:えー? 誰もいないし。 バイトもかよ。
今日ってクリスマス? バレンタイン?
「好きな人が死んじゃうと、
その人のこと、忘れられないって話、知っている?」
こ:エネルギーが足りない…
「だから、私、その人のこと、
死んだ人だと思うようにしたの」
こ:俺にこびとを補充してくれ…
「でも、時間が経つと、
死んでいるとか、生きているとか、
そういうこと、関係なくなるよ」
こ:落ちます。
「肝心な話、聞いてくれないんだ」
どうにもならなかった。
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