アン・ズルニを呼ばない【kobito side】 > 4) 王子は踊る

1) エンディング 2) 案外、ない。 3) オープニング 4) 王子は踊る 5) おたよりコーナー
6) 金を巻き上げる魔王 7) うしとねこが集結する… 8) あるところに父と子と魔王がいました。 9) アン・ズルニをさがせ/うし組ねこ組の抗争 10)学校の窮状と売却計画について
11) 見てる人 12) 魔王、アン・ズルニと逢う 13) こびとさんの真実 14) 魔王が来た 2 15) 時は来た。 16) 意欲は燃え尽きた…
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舞台は溶暗し、男女の声が聴こえる。
やがて仄かに明るくなる。
こびとが旗を上げ下げする影が映る。

病人の男とオレンジの服の女が会話してる。
おなじみ「アンズルニ」の1シーン。
もちろんキャラクターを操ってるのはこびとさんだ。
旗を「0,1,0,1」と振っている。
頭がウルトラマンなのは、気のせいだ。

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(旗振ってる  旗振ってる………)

(旗振ってる  旗振ってる………)

「アン・ズルニ。……」

「アン・ズルニって 誰?」

「女の人でしょ、アン・ズルニっていうくらいだから。」

「呼んで呼んで! アン・ズルニ――――」

「や、呼ばないでおこう‥‥呼ばないことにしてるんだ」

「それはまた!」

「長良川に行った時のこと覚えてる?」

「ああ、ひよこに乗って鵜飼を見に行った時」

「おまえが「ひかりで行くの?こだまで行くの?」
なんてふざけたこと言うから」

「ひよこに決まってるじゃん。
何? 知らないの?
ひよこは時速30万kmで飛んでるんだよ。
うそだろって? 目に見えないほど速いんだよ」

「でも乗ると重さの分のろくなるから、
結局30万÷6000=時速500kmで長良川へ向かった。」

「あれってぢゅうに゛ぢが優勝した時に飛び込んでも平気なように、
自転車とかを鵜に拾わせてたんだよね。」

「そうそう。で、ぢゅうに゛ぢだ。
みんなどこも負けが込んでくるとヤケクソになってくる。
ヤケになると決まってだく点が入るんだ」

「よごばばベイズダーズ
びろ゛じま゛ガーブ」

「で、だく点が入ったぢゅうに゛ぢは、
馬車がかぼちゃに戻っちゃった。
王子さまは12時過ぎても踊ってんのか?」

「夜通し踊り続けるので、動きやすい靴で来て下さい。」

「受付でガラスの靴をチェックされて、アン・ズルニは困った」

「これ、あぶないですね――。はいれませんよ」
「あ゛―――!!」

「アン・ズルニは呼ばれない。」

「「死にそうになったおじいさんが、
息子や娘や親しい人を枕元に呼ぶ。
「孫は、孫はまだか‥‥」 
だが、アン・ズルニだけは呼ばれなかった。」

「アン・ズルニを呼ばない。」

「亡くなった人の霊を呼び出すおばあさん
「おばあさんおばあさん、アン・ズルニを呼び出してください」
「……○△×※☆……あー、この方は まだ来られてないようですね」」

「アン・ズルニを呼ばない。」

「銀行の受付が」

「病院の受付が」

「出席をとりまぁす!…
…「アン・ズボンさん」
…「アン・ゾルゲさん」……」

「アン・ズルニを呼ばない。」

「王子様は踊り続ける。
五十音順にステージが上がる。」

「江東区民まつりで踊っている王子様。」

「ヨドバシカメラで踊っている王子様。」

「ロンドンで踊っている王子様。」

「ンジャメナで踊っている王子様。」

(旗振ってる  旗振ってる………)

(旗振ってる  旗振ってる………)


人の営みがある限り、
ゲームが続く限り、
こびとの仕事に終わりはない。


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