「オフィスを離れれば解放される」
わけがない。
こびとの業務はエンドレス。
自宅だろうが公園だろうが、
シナリオが流れれば反応してしまう性なのだ。
今日は「お」の途中からね。
「し」 お正月だよコロンブス
どうかしたの?
「す」 汚水処理場コロンブス
案外ない。
「た」 お宅のだんなコロンブス
どういうこと?
「ち」 おちつけよコロンブス
一緒に逃げてきた。
「に」 鬼のいぬ間にコロンブス
忘れてきちゃったの?あっちの世界に
「の」 お乗りなさいコロンブス
一緒だったはずだ。
「は」 おはかでコロンブス
放っといてもいいの?
「ふ」 お風呂でコロンブス
よくない。と思う。生徒たちも残してきたし
「へ」 お遍路さんコロンブス
寝覚めが悪いなら、行ったほうがいいと思う
「ほ」 オホーツクツクコロンブス
君は、いいのか? 俺が行ってしまっても
「み」 お土産はコロンブス
無理。
「む」 おむつの取れないコロンブス
こわい。
「り」 檻の中のコロンブス
壊れるまでの長い間、人のように走ってきた。
ただ世界の外の魔王が覚醒するのを怖れていた。
もうそんなにさ、走るなよ。
「わ」 終わりにしようコロンブス
「を」 尾を振るコロンブス
「ん」 温室育ちのコロンブス
「灼熱の7月、魔王が降臨する」
どうだい? インパクトは
案外、ない。
支配する側もまた、支配されている。
ゲームとは消費社会そのものであり、入れ子の無間地獄だ。
今日もこびとの明るく朗らかな呻き声が聴こえる…
3) オープニング につづく 「アン・ズルニを呼ばない」表紙に戻る