アリ:♪アリバイク寿司 アリ、アリ、
サンマ:「アリさんがバイクで、お寿司を運んでくれるよ」
アリ:♪アリバイク寿司 アリリリリ、
サンマ:「完全犯罪もアウト」
アリ:♪アリバイク寿司 アリリリリリリリリ
君も、食うかい?
アリ:そうそう、空海さんの紹介で、引っ越し屋に転職します。
空海さんってやさしいんだ。
しっかり働いてお金を貯めて、聖地に向かうといいことあるよって。
聖地ってどこにあるんだろうな?
いいパートナーも教えてくれた。
骨のある奴だって。楽しみだなあ。
この辺にいるって聞いたけど…
サンマ:ああ、痛いよう。このまま土になってしまうのか…
アリ:アリ?
サンマ:アリさんだ。
アリ:元気出して。
僕と一緒に働かないか?
サンマ:こんな僕でもいいの?
骨しかないんだよ。
アリ:身はそのうち生えてくるさ。
二人で組めばきっと上手くいくよ。
サンマ:こうして僕たちは、「アリサンマ悪の引越しセンター」を始めた。
アリ:毎日忙しいね。
今日は寒くて大変だ。
サンマ:ああ、全くだ。
骨身にしみる…骨身西見る…西ってどっちだ…こっちか。
「聖地は西にあり」…西に行くと聖地があるのか。
アリ:どしたの?
サンマ:聖地に行ってみたくなった。
一緒に行こうよ。
アリ:いいねえ。
サンマ:聖地に着いたぞ。
あれ?やけに工事が多いな。
アリ:堀田リウメタリと梅樽憲王だね。
ちょっと挨拶してくる。
…うわあ!!
サンマ:大丈夫か?
アリ:何か今、ワニがいたような気がしたんだけど。
サンマ:じゃあ見てくるね。
サンマ:…大丈夫。気のせいだよ。
アリ:そうだね。
だがそれは、広告の弘法が仕掛けた罠だった。
弘法:サンマを利用してアリをまんまと聖地におびき出した。
あとはワニが始末してくれるだろう。
聖地は西にあり。
聖地ワニ、死にアリ。
アリ:ギャアアアアアアーーー!!!!!
弘法:ワニに襲われたアリの運命Y蟹?!
弘法:そう、あれは忘れもしない、恐ろしい出来事だった。
アリ:♪アリバイク寿司 アリ、アリ、
サンマ:「アリさんがバイクで、お寿司を運んでくれるよ」
アリ:♪アリバイク寿司 アリリリリ、
サンマ:「完全犯罪もアウト」
アリ:♪アリバイク寿司 アリリリリリリリリ
君も、食うかい?
弘法:わが名は弘法大師・空海。
最近は広告の仕事で食っている。
チラシ・ポスターから看板書きまで、この私の右に出る者はいない。
広告の弘法ぉーー、この一線にーーー!!!
アリ:アリ?
弘法:わ、私の右に出る者はぁーー、
アリ:アリ?
弘法:アリだけは…アリだけは、許すわけには行かない。
だが恐ろしくて直接手は下せない。
どうすれば…ふふふ、いいこと思いついたぞ。
弘法:サンマを利用してアリをまんまと聖地におびき出した。
あとはワニが始末してくれるだろう。
聖地は西にあり。 聖地ワニ、死にアリ。
アリ:ギャアアアアアアーーー!!!!!
弘法:ワニに襲われたアリの運命Y蟹?!
ワニ:ガアアアアアアアーーー!!!!!
アリ:ギャアアアアアアーーー!!!!!
ワニ:………。
アリ:アリ?
ワニ:ワニ?
アリ:…こんにちは。
ワニ:こんにちは。
アリ:すごい土砂ですね。
ワニ:先週のゲリラ豪雨で山が崩れた。
アリ:大変そうですね。
ワニ:仕事だからな。
穴掘りなんて慣れてないし。
アリ 穴、得意ですよ。
ワニ ワニ?
アリ:コツがあるんです。
弘法:そろそろアリを始末できた頃だろう。
現地の中継に回せ。
ワニ:おお、掘れる掘れる。
アリ:だいぶ上手になってきたね。
ワニ:アリさんには感謝しないと。
アリ:困った時はお互い様だよ。
弘法:おい! おい! どうなってるんだ!!
ワニ:作業は順調に進んでます。
弘法:そうじゃない。
殺れ。
とどめを刺せ。
ワニ:えー? ちょっちそれは、無理っすよ。
アリ:あ、この辺はもういいかな?
ワニ:はい。
弘法:おい! 聞こえねえのか!
何やってんだコラ!!
アリ:次の現場へ移ろう。
監督は僕がするからワニさん背中貸して。
ワニ:はい、どうぞ。
アリ:出発、進行♪
弘法:く…この役立たずめが!!!
弘法:ちくしょう、使えないワニどもめ。
だがアリは聖地に追っ払ったから当分は安心だ。
広告の弘法ぉーー、この一線にーーー!!!
アリ?
弘法:右に引いたら、
アリ?
弘法:左に引いたら、
アリ?
弘法:真ん中は、
アリ?
弘法:くぅぅぅぅ…全部焼き払ったら、どうだ?
……アリ?
弘法:なぜ消えない?
アリ:アリの3分の1は働かないんだ。
でも残りのアリがやられたら、その分働くんだ。
弘法:いっぱいいやがったのか。
ありがとう。いいことを聞いたよ。
勝負あったな。そいつらも滅ぼしたら最後だ!!
……アリ?
弘法:まだいたのか。
くたばれ、うりゃ!!!
……アリ?
弘法:お前は不死身なのか?
アリ:僕はひとりだよ。
弘法:あれから俺は、夜も眠らず考えた。
右を向いても、アリ。
左を向いても、アリ。
アリは1匹なのに、どっちを向いてもアリがいる。
もしや、瞼の裏にアリが貼り付いてるのか?
…いや、そうではないようだ。
そうか。 アリは概念なんだ。
私の心がアリを見るから、そこにアリがいるんだ。
アリ:怖がることはないよ。
弘法:そうだ。恐れることはない。
年末調整の紙にだって書いてある。
扶養家族、アリ。
…空海、ついに悟ったぞ!
弘法:悟った俺にはもう怖いものなどない。
即身成仏、今すぐ仏にだってなれる。
今日1日を仏として生きてみよう。
ああ、なんてすがすがしいんだ。
どれ、一筆したためるとしよう。
書こうとすると、
「グニャ」。
書こうとすると、
「ごめんなさい」。
アリ:弘法も筆のあやまり。
弘法:どいつもこいつも役立たずめ!
新しい筆を買いに行くぞ。
…何だ? 雨か。 今年はよく降るな。
恐岩:いらっしゃい。
弘法:筆ください。
恐岩:お客さん、いいところに来たね。
この辺はもうすぐ洪水で流されちゃうから、備えた方がいいよ。
弘法:店内には、筆、筆、浮き輪、筆と並べてあった。
恐岩:あ、お客さんは筆を買いに来たんだよね。
そう、この辺まで水が来るって。
激しい流れじゃないから、水に浮いてれば大丈夫。
弘法:…浮き輪、ください。
恐岩:お客さん、筆はいいのかい?
アリ:弘法、筆を選ばず。
弘法:ところが洪水ではなく火山が噴火してしまった。
「ドカーーン」
「うわああああ」
山小屋へ避難だ。
何とか辿り着いた。
みんな受付で名前を書いている。 自分の筆で書いている。
だが俺は筆を持ってない!!
恐岩:お客さん、自分の筆で書かないと入れませんね。
アリ:空海さん、こっちですよ。
弘法:あ、誰かの声がする。
アリ:先日はお世話になりました。 さあ、この中へどうぞ。
弘法 おお、アリか。 私を助けてくれるのか。
アリ:狭いところですが、よければしばらくいてください。
弘法:狭いって、狭…浮き輪が、浮き輪が詰まって動けない…
アリ:空海さんって、生きたままで仏になるって、すごいんですね。
弘法:これがホントの即身成仏かよ。
…ほっとけ!
3)三ドブミュージックにつづく。 「アンクル・ギャグの小屋(3号店)」表紙に戻る