おくさん。 きこえますか、おくさん。 私ですよ、 ニコ先生ですか。 月がきれいですよ、おくさん。 まあ。 でも私は眠っているから、見ることができないわ 時々、夢をみるんです。 不思議と何度も同じような夢。 夢の中で私は、赤っぽいネコになって、美味い肉を腹いっぱい食うんです。 まあ、ニコ先生でも、そんな夢、みるんですね あ、でも、おくさんはぐっすり眠ってるから、 こんな風に喋っても、聞いてはくれないんですね きこえてますよ、ニコ先生。 あなたが好きです。 まあ、そうですの? こんな風につぶやいても、それが伝わらなかったら、 伝わってるかどうかわからなかったら、 言ったつもりが夢だったりしたら……困ってしまいますね。 いいえ、私にはきこえています。 ああ、でも、どうやったらそれを知ってもらうことができるんでしょう? まして、私の気持ちが伝わるなんて… なんだか、ラジオのリスナーみたいですね。 ではせめて、おくさんへの思いを込めて… そうだ、リクエストハガキ書きますね。 …今夜は土をかき混ぜます… 「赤っぽいネコ」へつづく。 |